暗号資産がゲームの世界に本格参入、業界をどう変えているのか

近年、ゲームの世界は見た目の進化はもちろんですが、これまで以上に体験の深さに注目が集まっています。具体的には、単に遊ぶだけでなく、プレイヤーがデータやアイテムを“所有する”、あるいは他のプレイヤーと自由にやり取りできるようになるなど、ゲームとの関わり方が大きく変わりつつあるのです。

その背景にあるのが、暗号資産(仮想通貨)やブロックチェーンといった新しい技術です。これらの仕組みによって、ゲーム内のアイテムや通貨がプレイヤー自身の資産として扱えるようになり、他のユーザーとのトレードや外部マーケットでの取引も可能になっています。

そして、このような取引によって獲得した資産を安全に保管するために「暗号資産ウォレット」の需要が増加。つまり、これら最新のゲームを遊ぶ上では「ビットコインウォレットとは?」「イーサリアムウォレットとは?」といったウォレット理解も大切になってきていると言えます。

本記事では、今日のように暗号資産とゲームが交わることで生まれている新しいトレンドについて、詳細に解説していきます。

Play-to-EarnからPlay-to-Ownへ

暗号資産とゲームの組み合わせでは、2021年の『Axie Infinity』の成功によってPlay-to-Earnという仕組みが大きな注目を集めてきました。このモデルは、ゲームをプレイすることで暗号資産トークンを獲得し、それを現実の通貨と交換できる“遊んで稼げる”というもの。一部の国では、ゲームプレイが生活の糧となるほどのブームを巻き起こしてきました。

一方で、近年はより新しい発想としてPlay-to-Ownという概念が登場しています。このモデルでは、ゲーム内で得たキャラクターやアイテム、土地などを、NFTとしてプレイヤーが“実際に所有する”ことができるのが特徴です。
たとえば、2024年にリリースされたPlay-to-Ownを採用する『Pixelmon』では、育てたキャラクターや装備品を資産として保持し、外部のマーケットで自由に取引することが可能になっています。

つまり、単にプレイの報酬として暗号資産を得るだけでなく、プレイの成果を自分の資産に変えるという体験が広がりを見せ始めているのです。

トークン設計とインフラの進化

Play-to-EarnやPlay-to-Ownといった新しいゲーム体験を支えているのは、トークン経済とブロックチェーンのインフラです。

暗号資産を活用した以前のWeb3ゲームでは、報酬トークンが大量に発行されることで一時的に価格が急騰する一方、プレイヤーが増えなくなると急落するなど、経済の安定性に欠ける設計が存在しました。

その反省から、近年では経済の持続可能性を重視した設計に移行しています。具体的には、報酬をトークンの発行だけに頼らず、NFT取引の手数料やゲーム内サービスの利用料を基にした収益モデルを採用するケースが増えています。

また、こうしたWeb3ゲームを支えるインフラもどんどん進化しています。たとえば、『Immutable X』というサービスではイーサリアムを土台にしつつ、ガス代をゼロにして、高速でアイテムのやりとりができる仕組みを実現。これにより、プレイヤーはスムーズかつコストを抑えてアイテム取引を行うことができ、Web3ゲームがより身近な存在になりつつあるのです。

UX改善と参入障壁の低減

Web3ゲームと聞くと、ウォレットの設定や暗号資産の入手など、初心者には敷居が高いものというイメージが未だにあるかもしれません。

しかし最近では、メールアドレスだけで自動生成されるウォレット機能や、ゲストプレイから始めて後で連携できる仕組みなど、UXは大きく改善。

加えて、PCゲーム向けのオンライン配信プラットフォーム『Epic Games Store』などでもWeb3ゲームの配信が始まっており、ゲーマーが意識せずにWeb3の恩恵を受けられる環境が整いつつあります。

まとめ

暗号資産とゲームの融合は、もはや限られた一部のプレイヤーだけの話ではなくなってきました。本記事で紹介してきたように、プレイヤーがただ遊ぶのではなく、成果を資産として所有し、活用するという新しい体験などが広がりつつあるのです。

今後は、より多くのゲームタイトルがWeb3に対応し、仮想通貨やNFTを自然に使うことが当たり前になるかもしれません。ゲームの中に“経済”や“所有”という概念が溶け込んでいく未来は、すでに目前まで迫ってきています。

READ  インドが最大規模の仮想通貨詐欺事件を摘発。 XRPは今年最高のブレイクアウトを記録

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする